新しく「ドメイン駆動設計のパターン・原則・プラクティス本」が出ました

井上です。 以前、本ブログでドメイン駆動設計(Domain-Driven Design 以下 DDD)のリファレンス本について紹介致しました。 おかげさまで非常に多くの方にご覧頂いたようで、DDDの注目度を改めて感じました。 また、「エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計 ソフトウェアの核心にある複雑さに立ち向かう」(以下 DDD本) に続く2冊目ドメイン駆動設計本として、「実践ドメイン駆動設計」(以下 DDD実践本) も出版され、日本におけるDDDへの注目度がさらに増しているように思います。 私自身、普段からDDDを用いた開発を行っているので、日本語で多くのDDD情報が入手できることはとても嬉しい限りです。 そんな中、DDDを冠した「Patterns, Principles, and Practices of Domain-Driven Design」という新しい本 (以下 DDDパターン・原則・プラクティス本) が 2015/4/20 に出版されたようです。

Patterns, Principles, and Practices of Domain-Driven Design

私自身、まだ購入したばかりで流し読みしか出来ていないのですが、簡単に紹介したいと思います。

DDDパターン・原則・プラクティス本とは

本書は、大きく4つのパートから構成されています。概要は以下の通りです。

  • PART I – DDD の哲学 (philosophy) 、原則 (principles) 、プラクティス (practices) について
  • PART II – 境界付けられた境界 (bounded contexts) を統合する 戦略的パターン (strategic patterns) について
  • PART III – 効果的なドメインモデルを作るための 戦術的パターン(tactical patterns) について
  • PART IV – ドメインモデルを活用し効果的なアプリケーションを構築するために適用可能なデザインパターン (design patterns) について

戦術的パターンより戦略的パターンが先に紹介される構成となっており、その点はDDD実践本と同じですね。 また、本書は792ページと非常にボリュームがあります。 DDD本が560ページ、DDD実践本が 656ページであることと比較しても、そのボリュームがわかると思います。 なお、DDD本とDDD実践本のサンプルコードはJavaで記述されていましたが、本書はC#で記述されています。

章構成

具体的な章構成は以下のようになっています(日本語訳は私が付けたもので、正式なものではありません) 各パート・章のタイトルを見ていただければ、どのような内容になっているのかある程度想像がつくのではと思います。

  • INTRODUCTION
  • PART I: THE PRINCIPLES AND PRACTICES OF DOMAIN-DRIVEN DESIGN (ドメイン駆動設計の原則とプラクティス)
    • CHAPTER 1: WHAT IS DOMAIN-DRIVEN DESIGN? (ドメイン駆動設計とは何か?)
    • CHAPTER 2: DISTILLING THE PROBLEM DOMAIN (問題ドメインの蒸留)
    • CHAPTER 3: FOCUSING ON THE CORE DOMAIN(コアドメインに注目する)
    • CHAPTER 4: MODEL-DRIVEN DESIGN(モデル駆動設計)
    • CHAPTER 5: DOMAIN MODEL IMPLEMENTATION PATTERNS(ドメインモデル実装パターン)
    • CHAPTER 6: MAINTAINING THE INTEGRITY OF DOMAIN MODELS WITH BOUNDED CONTEXTS(境界づけられたコンテキストのドメインモデルの整合性を維持する)
    • CHAPTER 7: CONTEXT MAPPING(コンテキストマッピング)
    • CHAPTER 8: APPLICATION ARCHITECTURE (アプリケーションアーキテクチャ)
    • CHAPTER 9: COMMON PROBLEMS FOR TEAMS STARTING OUT WITH DOMAIN-DRIVEN DESIGN (ドメイン駆動設計から始めたチームの共通問題)
    • CHAPTER 10: APPLYING THE PRINCIPLES, PRACTICES, AND PATTERNS OF DDD (DDDの原則、プラクティス、パターンを適用する)
  • PART II: STRATEGIC PATTERNS: COMMUNICATING BETWEEN BOUNDED CONTEXTS(戦略的パターン:境界づけられたコンテキスト間のコミュニケーション)
    • CHAPTER 11: INTRODUCTION TO BOUNDED CONTEXT INTEGRATION(境界づけられたコンテキストの統合の概論)
    • CHAPTER 12: INTEGRATING VIA MESSAGING(メッセージングによる統合)
    • CHAPTER 13: INTEGRATING VIA HTTP WITH RPC AND REST (RPCやRESTを用いたHTTPによる統合)
  • PART III: TACTICAL PATTERNS: CREATING EFFECTIVE DOMAIN MODELS(戦術的パターン:効果的なドメインモデルの構築)
    • CHAPTER 14: INTRODUCING THE DOMAIN MODELING BUILDING BLOCKS (ドメインモデリングの構成要素の紹介)
    • CHAPTER 15: VALUE OBJECTS (値オブジェクト)
    • CHAPTER 16: ENTITIES (エンティティ)
    • CHAPTER 17: DOMAIN SERVICES (ドメインサービス)
    • CHAPTER 18: DOMAIN EVENTS (ドメインイベント)
    • CHAPTER 19: AGGREGATES (集約)
    • CHAPTER 20: FACTORIES (ファクトリ)
    • CHAPTER 21: REPOSITORIES (リポジトリ)
    • CHAPTER 22: EVENT SOURCING (イベントソーシング)
  • PART IV: DESIGN PATTERNS FOR EFFECTIVE APPLICATIONS(効果的なアプリケーションのためのデザインパターン)
    • CHAPTER 23: ARCHITECTING APPLICATION USER INTERFACES (アプリケーションのユーザインタフェース設計)
    • CHAPTER 24: CQRS: AN ARCHITECTURE OF A BOUNDED CONTEXT (コマンドクエリ責務分離 : 境界づけられたコンテキストのアーキテクチャ)
    • CHAPTER 25: COMMANDS: APPLICATION SERVICE PATTERNS FOR PROCESSING BUSINESS USE CASES (コマンド:ビジネスユースケースを処理するためのアプリケーションサービスパターン)
    • CHAPTER 26: QUERIES: DOMAIN REPORTING (クエリ:ドメインのレポーティング)

想定する読者

Introduction」の「Who Should Read This Book」で、本書の想定読者について触れています。 以下、上記からの引用です。

It is not a replacement for Domain-Driven Design: Tackling Complexity in the Heart of Software by Eric Evans (Addison-Wesley Professional, 2003). Instead, it takes the concepts introduced by Evans and distills them into simple straightforward prose, with practical examples so that any developer can get up to speed with the philosophy before going on to study the subject in more depth.

ここでは、本書が「DDD本の代用品ではない」と明確に述べていますね。 また、「エヴァンスによって紹介された概念を、単純で (simple) 分かりやすい (straightforward) 散文 (prose) に蒸留する (distill) 」という記述もあります。 これは、DDD本自体が文学的で韻文形式の文章を多く含んでおり、それがDDD本の読みづらさに繋がっていたと思うので、韻文と対比する形で散文 (prose) という言い回しを使うことで、分かりやすさを強調しているのかなと解釈しました。 つまり本書は「DDD本を読むだけでは分かりづらかったDDDの概念を、わかりやすい文章と実践的なコード例を用いて解説する」という内容になっていると思います。 著者が述べている通り、DDD本を既に読まれた方が、理解を深めるための副読本として読むのが良いのかもしれませんね。

まとめ

今回は、DDDパターン・原則・プラクティス本について簡単に紹介しました。 DDDへの理解を深めるために有用そうな内容になっているので、少しづつ読み進めていきたいと思います。 興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょうか?(個人的には日本語訳されることを期待しています)

「よいコード」を書くためのはじめの2歩

ギルドワークスさんとパートナーとして一緒にお仕事させていただいています
木目沢(@pilgrim_reds)と申します。

このような場で記事を書かせていただけることになりまして大変緊張しております。

今回は、Kent Beckが書いた「実装パターン」という本を紹介したいと思います。

出版社の都合で絶版になってしまっているのですが、素晴らしい本ですので、もし手に取る機会がありましたらぜひ読んでみてください。

この本のテーマは、「よいコードを書く方法」です。
190ページという薄い本ながら、「よいコードを書く」ためのパターンが100個近く掲載されています。

なにより素晴らしいのは、パターンを紹介するだけでなく、

  • そもそもよいコードとは何か?
  • なぜよいコードを書く必要があるのか?
  • パターンとは何か?
  • どのようにパターンを選択し、適用すればよいのか?

という本のテーマの「前提」となる部分がきちんと説明されていることです。(まえがき、1章〜4章)

全てをこの場では紹介しきれませんので、今回はこのなかから、「よいコードを書くためのはじめの2歩」を紹介します。これは、Kent Beck自身が歩んだ最初のステップということで「1章 はじめに」で紹介されています。

1歩目・・・プログラミングを行うと同時に意識的になること。

Kent Beckがこの本を執筆しはじめたころの話だそうですが、当時、すでに、何年もプログラミングの経験があり、プログラミング上の決定はスムーズにすばやく行われているのに、なぜメソッド名をその名前にしたのか、そのオブジェクトにそのロジックを含ませるべきだと確信した理由は何なのかを説明できなかったことに気がついたそうです。

そこで、よいコードを書くための第一歩は「自分で何を考えているかを意識できるぐらいに思考速度を落とす」こと、直感でコードを書く「振り」をやめることを挙げています。

2歩目・・・他人の重要性を認識すること。

プログラミングというのは、1人の人間と1台のマシンとの孤独なコミュニケーションであることは、ほとんどありません。
また、他人を気に掛けるということは、意識的な決定であって、練習しないと身につかないものです。

同じくKent Beckが書いた「XPエクストリーム・プログラミング入門 — 変化を受け入れる 第2版」の原書出版が2004年。「実装パターン」原書出版が2007年ですから、当時、すでに達人の域に入っていたといってもいいでしょう。
つまり、新人でも中級者・上級者であっても気がつかなければ最初の一歩も踏み出せないということです。

ここまで、こんなことを言っておいてなんですが、私自身、はじめの2歩を忘れてコードを書いていることが未だに多いです。
まだまだ、練習が足りませんね。

誤解していただきたくないのは、「常にゆっくり」コードを書けといっているわけではありません。いわばトレーニングの一環といったところです。
最終的にはよいコードを書くことを「習慣化」するというのが、そもそもの本書の目的であります。

最後にこの「実装パターン」ですが、ギルドワークスの増田さんが、ドメイン駆動設計を実践する中で、何度も読み返して参考になさっている文献のなかの一冊に挙げられています。

ドメイン駆動設計を実践されている方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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パッケージ間の循環依存を自動で検出する

はじめまして。井上です。

私は仙台でフリーランスのエンジニアとして活動しています。
以前は仙台のSIerに勤務していたのですが、ギルドワークス設立と同時に退職し、それ以来ギルドワークスと一緒に仕事をしております。
そのような縁もあり、本ブログで記事を書くことになりました。どうぞよろしくお願いします。

さて、私は長らくJavaでシステム開発を行っていることもあり、以下のような分野に興味があり、仙台でも勉強会を主催したりしています。

  • オブジェクト指向設計
  • デザインパターン
  • TDD(テスト駆動開発)
  • DDD(ドメイン駆動設計)

本ブログでは、主に上記に関連するような記事を投稿していきたいと思います。

パッケージ間の循環依存を自動で検出する

さて、今回はパッケージ間の循環依存の自動検出について取り上げます。

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