利用者を取り巻くあれこれを可視化する

ギルドワークスの佐々木です。

ソフトウェアを実利用者の文脈に沿ったものとして届けるために、利用者を知ることが大切であると言われます。
利用者を知るといった場合に、インタビューや行動観察をしてユーザーデータを集めることはとても重要ですが、その結果を分析しなければ、意味のないデータになってしまいます。
今回の記事ではまず、人間中心デザイン(Human Centered Design:HCD)の観点から整理してみたいと思います。

Contextual Design

コンテクスチュアル・デザイン(Contextual Design)という手法・考え方があります。これは、ユーザー中心デザイン(User Centered Design)の手法として、1990年代後半にHugh Beyerと Karen Holtzblatt によって提案されました。この手法は以下の6つのプロセスより成り立っていますが、今回は Work modelingにフォーカスします。

  • Contextual inquiry:インタビューによるユーザー調査
  • Work modeling:5つのワークモデルを用いた分析
  • Consolidation:分析結果の統合
  • Visioning & StoryBoarding:統合結果をシナリオ化しリデザイン
  • User Environment Design:ユーザーをとりまくシステム環境を描く
  • Prototyping and Implementation:プロトタイプと実装

Work Modeling

Work Modelingでは、前段のコンテクスチュアル・インクワイアリーで得られたデータをモデル化します。このモデル化には、5つのワークモデルが使われます。

  • Flow model
  • Sequence model
  • Cultural model
  • Artifact model
  • Physical model

Flow model

フローモデルは、利用者が行なうべきコミュニケーションを可視化します。利用者があるタスクを行なう際に、どんなコミュニケーションを必要としているかを、公式・非公式区別なく記載していきます。必要であれば、人工物も描くようにします。
フローモデル

Sequence model

シーケンスモデルは、時系列で流れをみるものです。ある利用者がどんなタスクをどんな順番でこなしているのかを可視化します。流れ作業でやってしまっているステップでも、書き出してみると実は必要のないステップであることに気付いたりすることがあります。
シーケンスモデル

Cultural model

カルチュラルモデルは、ある利用者が何かのタスクを達成するために、周りの人にどんな影響を受けているかを可視化します。何かを意思決定する時、その人個人だけが独立して判断していることはほとんどありません。周りの何らかの影響を受けていることが多いです。重要なステークホルダーを洗い出すことで、デザインにつなげます。
カルチュラルモデル

Artifact model

利用者がゴールに向かうために使う人工物・道具を可視化します。単に「同僚に連絡する」と言っても、チャットツールを使う人も居れば、狼煙を使う人もいるでしょう。その使う道具を洗い出して、デザインのヒントを得ます。

Physical model

利用者が置かれている環境を可視化します。どんな部屋でシステムを使うのか、モバイルデバイスを使っているのか、近くにはどんなものが置かれているのか。そういったことを洗い出すことで、どんなものを届けたらよいのかが判断できるようになります。

カスタマージャーニーマップ

紹介した5つのワークモデルを利用しているデザイナーは、あまり見かけなくなりました。その代わりに活用されているのは、カスタマージャーニーマップサービスブループリントであると思います。

(参考)
2時間で作るカスタマージャーニーマップ――実例とともに考える新しい「おもてなし」のカタチ
ブループリント | Service Design Tools

これらは、短時間でワークショップ形式でユーザーの行動を追うためにとても有用なツールであると考えます。一方で、多数のステークホルダーが関わったり、多様なストーリーがある場合に、1人の利用者、1つのストーリーに強くフォーカスが当たってしまう傾向があります。そういったトレードオフを理解しつつ、利用者を取り巻く環境を可視化する手法を組み合わせ、利用されるソフトウェアの開発に繋げていければと思い、日々活動しています。

まとめ

ユーザーの調査結果を分析する際に、どんな可視化の方法があるかを簡単にまとめました。
次回は、システムを設計する視点からのモデリング方法についてまとめたいと思います。

ギルドワークスでは「価値探索」というサービスを提供しています。その中では、想定利用者のインタビューを実施し、マップやキャンバスを駆使しながら、利用者により良いシステムを届けるお手伝いをしています。
本日、弊社で実施している内容をご紹介する資料を公開し始めました。ご興味がありましたら、こちらよりご覧ください。

(アイキャッチ画像は https://flic.kr/p/4H63FH より引用しました。)

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